日本におけるED患者

このようなわが国での調査とは別に、世界中にED患者がどのくらいいるのか調査しよ うという試みがなされ、わが国はブラジル、イタリア、マレーシアと組んで4力国で同時 に調査が行われた。わが国では疫学の専門家の参加を得て「成人男子の健康と性に関する 調査」委員会を組織し(委員:阿部輝夫あべメンタルクリニック院長、精神科医;丸井英二 順天堂大学医学部教授、疫学専門;石井延久東邦大学医学部教授、泌尿器科医;林邦彦群 馬大学医学部助教授、筆者)、日本性科学情報センターが中心になって調査を行った。

調査方法は全国100地点で住民基本台帳より30〜79歳の2,000サンプルを層化二段階 無作為抽出法で抽出し、この2,000人に質問紙(質問内容は4力国共通だがわが国では少し 変えている)を郵送して係員が直接回収した。回収率は51%で、性に関するこの種の調査で は高い回収率が得られた。回収したデータはアメリカの専門家に送って解析を依頼し、そ の中間報告は委員の丸井3>が1998年アムステルダムでの第8回世界インポテンス会議で 報告し、最終報告は近々誌上に発表する予定になっている。この中間報告をもとにその年の男性人口からわが国のED患者数を計算してみると、31〜70歳のうち完全なED患 者数は1,740,000人、中等度のED患者数は8,000,000人、軽度のED患者数を含めるとわ が国には9,800,000人以上のED患者がいることがわかった。今回の調査成績を同時に 行ったブラジル、イタリア、マレーシアと比較してみると、わが国の全体的なEDの有病率 は39%なのに対し、ブラジル15%、イタリア21%、マレーシア16%とわが国がずば抜け てED有病率が高いことがわかった。これはわが国はほかの国と比較して人口の老 齢化が進んでいるためで、わが国ではED患者数の43%が61〜70歲の高齢者で占められ ていた。そこでアメリカのマサチューセッツ州、ボストン近郊を中心、に行われた高齢者の EDの疫学調査4)(Massachusetts Male Ageing Study : MMASといわれ、この疫学調査 はEDの疫学調査のモデルとしてよく引用されている)のデータと今回のデータを比較してみると、全体的には日本もほぼアメリカと同じくらいのED有病率だが、高齢者 は日本の方がむしろ高いことがわかった。このようにわが国には大変な数のED患者がい ることがわかったのである。

一方、アメリカの研究者たちは日本のED患者の推計値は少し少ないのではないかと考 えている。それはアメリカのED患者数は約30,000,000人といわれており、先に述べたよ うにMMASとの比較でアメリカ人と日本人とほぼ同率でEDが発生していることから、 日本の人口はアメリカの約2分の1なので日本には15,000,000人のED患者がいるはず だというのである。いずれにしても驚く数字なのである。

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